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リカレント教育体験記
2025

私のリカレント教育体験記

山岡 祐子山口大学大学院医学系研究科消化器内科学

 リカレント教育体験記を書かせて頂きます山岡祐子と申します。まずは私の経歴を簡単にご紹介いたします。愛知県出身、岐阜大学医学部医学科で学び、2013年に医師免許を取得いたしました。その後、山口県出身の大学の同級生との結婚を機に山口県にて初期研修を行い、2015年から山口大学大学院医学系研究科消化器内科学に所属しております。2016年に大学院入学、2018年の出産以降は主に内視鏡業務を担当しておりました。2020年に大学院を卒業し学位も取得しました。2022年に消化器病学会専門医、2023年に消化器内視鏡学会専門医を取得しております。女性医師の妊娠出産時期の働き方に関しては、出身や家族背景などで各々に必要な支援が異なると思いますので、あくまでも一例としてご紹介させて頂けたらと思います。

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 第一子妊娠中は妊娠悪阻がひどく、2週間のお休みを頂きました。その後も2ヶ月ほど仕事内容の調整をして頂きました。
 病院内にはRoom Kiitos という女性の休憩室があり、お腹が張った時にはソファーやベッドで横になれました。休憩室では着替えや昼食で利用される方もいれば、搾乳をされる方、当直の際にベッドを使われる方もいます。
 山口大学のダイバーシティ推進室からは妊婦用のスクラブの貸し出しがあり、利用させて頂きました。
 大学病院の規定に則り産前2ヶ月から産休に入りました。産休修了後、3ヶ月の育休を頂きました。復帰後は、半年間は週3日、その後は平日週5日8:30から17:00の勤務に調整して頂きました。保育園は徒歩10分の場所に院内保育園があり、勤務時間によって7:00から18:30まで保育が可能です。延長保育は20:00まであり、夜間保育も可能です。平日に加え土曜日も保育があります。市の認可保育園はお盆や年末は休みになったり給食中止になったりしますが、院内保育園は大学病院のお休みと連動しており開園日には毎日給食があるので大変助かりました。

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 保育園が始まると直ぐに風邪をひき、仕事中に呼び出しを受けることが多々ありましたが、いつでも心配だね、お大事にと送り出してくださる周りの先生方には感謝しかありません。
 子供は月に数回熱を出し、受診や翌日の病児保育の準備など目が回る忙しさでした。体調のせいで機嫌が悪くなったり夜中に何度も起きたりして看護する側は思う様に眠れず、病気をうつされてしまう事も多かったです。
 病児保育料は大学の助成制度があり、対象者は年間12000円を限度に補助して頂けました。逆に体調が戻り生活にゆとりがうまれた時には論文を書いたり、学会に参加したり、専門医の勉強をしたり、少し遅くまで仕事をして治療の介助や見学をすることが出来ました。
 子供の体調は予測できないことなので、急に自分の時間がなくなる事も考慮して発表のスライドは早めの準備、提出を心掛け、論文は隙間時間で文献に目を通したりコツコツ作文したりしました。急に時間ができた時に直ぐに作業できるように、次にやらなければならないことをリストアップしておくなどの工夫をしました。

 制度ではないですが、授乳期には昼と午後に保育園まで授乳に行っておりましたので、外勤先を大学の近郊にして頂き、院内でも授乳時間に重ならない検査を担当させて頂くなど細やかな調整をして頂きました。
 医師共働きであり、さらにコロナ禍や祖父母の介護のため遠方の両親の援助が望めない中でしたが、この様な施設、制度の利用や周囲の先生方のご配慮のお陰で継続して内視鏡検査に携わることが出来、キャリア形成に繋がったと考えます。
 努力は必要ですが無理をし過ぎずに、細くとも長く続けて行く事を目標に育児期を乗り越えて行けたらいいなと思っております。ご一読くださりありがとうございました。

女性医師としてのライフイベントとキャリアの両立 - 研修医時代の出産経験から見えた制度の課題と展望 -

小林 奈津季、仁科 惣治、吉田 浩司、塩谷 昭子川崎医科大学附属病院 消化器内科

 私は現在、消化器内科医として勤務しながら、1歳7ヶ月になる子どもの母親としても日々奮闘しています。私が妊娠・出産を経験したのは、研修医2年目の時でした。この経験を通じて、女性医師がライフイベントを迎えることがキャリアにどのような影響を与えるのか、また制度として何が足りていないのかを強く考えるようになりました。
 当院は女性医師の割合が30%を超えており、臨床教育研修センター・良医育成支援センターを中心に女性医師支援を行う仕組み・環境づくりに力を入れています。また、男性医師による育児休暇の取得が増えてきています。

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当科は、常勤在籍医師は25名のうち、女性医師が6名で教授、講師(2名)、大学院生、レジデント(2名)と多様な経験や視点を持つ幅広い世代の先生方が在籍しています。また男性医師も育児休暇を取得したり、定時退勤をし家庭との両立を実現できる環境を構築していただいています。
私が産休を取得した初期臨床研修の2年目でしたので制度上は産前産後休暇や育児休業の取得は可能です。しかし現場の実態としては初期研修期間中の90日以上の長期休業は、ローテーションの再調整や評価面でも不利になりやすく、研修修了が延期となる現実もあります。しかし、制度を活用するとともにローテーションの再調整や外部研修の受け入れを変更していただき、2年間で研修修了することができました。
入局後は私自身の環境は変わりましたが、子供も保育園に入園し子育てのほうも環境が変化しました。発熱時の早退をさせていただいたり、検査治療が長引き迎えの時間が来てしまうことが多々あり家庭との両立は難しい状況だったと思います。しかし、早退時には代診を快く引き受けてくださったり、検査中にも関わらず子供のことを気にかけて交代をしてくださったりと理解のある上司たちに恵まれ本当に感謝しています。

 出産後も医師として働き続けるには、家族の理解と協力はもちろんですが、勤務形態の柔軟性も重要だと思います。私は家族も職場の理解もある恵まれた環境で働くことができていますが、このような施設ばかりとは限りません。
また、医師専門研修制度においては、フルタイム勤務を前提とした症例数や研修時間が求められる場面が多いと思われます。
厚生労働省の取得している資格別の統計では女性医師の統計として、内科専門医は4462人に対し、消化器病専門医は2695人、消化器内視鏡専門医は2086人と専門性が上がるにつれて専門医取得されている女性医師は減少しています。また、年齢階級別にみた医療施設に従事する医師数の統計では29歳以下は11473人、30~39歳では21153人、40~49歳では19071人とライフイベントが影響していると推測されるデータがあります。
日本専門医機構では近年、育児・介護等による「特例研修」の制度を整備し、研修期間の延長や一部条件の緩和を認めていますが、施設間での運用差が大きく、統計からわかるように実際に利用できている女性医師はまだ少数と考えられます。

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 今後は女性医師が妊娠・出産・育児というライフイベントを迎えながらもキャリアを継続していくためには、制度面だけでなく、職場内の理解や意識の改革が不可欠です。
また、研修プログラムや専門医制度の設計においても、女性医師だけでなく、すべての医師がライフイベントを経験しながらキャリアを築ける柔軟な制度設計が必要と考えます。多様な働き方を認め、互いの負担を補い合うチーム医療の実践が、最終的には良質な医療を提供することにつながるのではないかと考えています。

 私自身、研修医時代に出産を経験し、育児をしながら専門医を目指すなかで、困難を感じることもありますが、それ以上に周囲の支援のありがたさと、制度が変われば未来が変わるという希望も感じています。これからの若い医師たちが、ライフイベントを理由に夢を諦めることのない環境を整えるためにも、両立を継続し改善に向けた取り組みを支援していきたいと思います。

最後になりましたが、このような職場環境を構築してくださっている川崎医科大学附属病院消化器内科 塩谷教授、吉田教授、仁科教授をはじめ医局の先生方、スタッフの皆様に御礼申し上げます。

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